第3節 熱分解によるリサイクル技術
京都市工業試験場の島村らは、フェノール樹脂廃棄物を加熱処理した際に生じる分解液を用いたエポキシ化合物の合成を行い、その硬化物の有効性を報告している。1) 2) 3) 4) 窒素雰囲気下600℃にて得られる熱処理液からノボラック型エポキシ樹脂を合成し、エマルション化したものを道路舗装用資材として評価した結果、動的安定性、耐摩耗性、滑り抵抗値が高くなり、また透水性能や空隙詰まり抑制効果が高く、排水性舗装のトップコート材としての有用性が認められた。
また、加熱処理して同時に得られるカーボン前駆体からカーボン焼成体、プラスティック複合材料等を得る技術を検討している。5) 6)

Fig.1 Flow chart of recycling technology of paper base phenolic laminate wastes. 3)
参考文献
- 1) 島村哲朗, 寒川善光, 北川和男, 佐藤昌利, 中野達明, "フェノール樹脂廃棄物のリサイクル化", 第44回ネットワークポリマー講演討論会要旨集, p.125(1994)
- 2) 島村哲朗, 寒川善光, 北川和男, 中野達明, 佐藤昌利, "フェノール樹脂廃棄物のリサイクル", 第46回ネットワークポリマー, p.25(1996)
- 3) 島村哲朗, "フェノール樹脂廃棄物の熱分解液のエポキシ樹脂化に関する研究", 第50回ネットワークポリマー, p.141 (2000)
- 4) 島村哲朗, 北川和男, 大道 賢, 山之口 浩, 松田嘉宗, "フェノール樹脂熱分解液から得られたエポキシ樹脂の排水性舗装トップコートへの利用", 第51回ネットワークポリマー, p.161 (2001)
- 5) 寒川善光, 中野達明, 北川和男, 佐藤昌利, 島村哲朗, "フェノール樹脂廃棄物のリサイクル化", 第44回ネットワークポリマー講演討論会要旨集, p.121(1994)
- 6) 中野達明, 北川和男, 島村哲朗, 佐藤昌利, "フェノール樹脂廃棄物の炭化材料化によるリサイクル", 第48回ネットワークポリマー, p.195(1998)