第5章 ポリウレタン樹脂

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第2節 アミン分解技術によるリサイクル

 ㈱東芝 研究開発センターの深谷らは、ウレタン樹脂を連続分解装置で分解し、それをエポキシ樹脂硬化剤として再利用する検討を行った。

 ウレタン樹脂と分解剤を連続的に投入し、装置内のスクリューによって加熱・混合・圧縮を同時に行うことによってウレタンの分解を促進する装置を用いた。(Fig.1参照) 装置滞留時間を約3分で行った。また、装置出口での樹脂分解液の温度は230~240℃であった。使用したウレタン樹脂(以下、PURと略記)は、水酸基価450mgKOH/gのポリオールと%NCO=31.4のイソシアネートを主成分とし、触媒、整泡剤、発泡剤等を添加して作成したものを使用した。分解剤としてはジエタノールアミン(工業用、以下DEAと略記)を使用した。

 ウレタン樹脂分解物と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量189)とを所定量混合した後、脱泡、注型し、オーブン中において100℃で3時間一次硬化させた後、150℃で二次硬化させて測定サンプルを得た。

 連続分解装置によって得られたウレタン樹脂分解物の特性は、ウレタンに対して分解剤の使用量を減少させると、水酸基価もアミン価も減少する結果が得られた。(Table 1 参照)

 再生樹脂の特性に及ぼすウレタン分解物の配合量の影響を調べた結果、ガラス転移温度の測定いずれの分解物においても最適な配合比が存在することが判明した。再生樹脂の特性に及ぼす分解剤の割合を調べた結果、分解比の影響は見られず、機械的特性・電気的特性共に高い値を示した。またその値は、酸無水物硬化エポキシ樹脂と同等の特性を示した。

図表
Continuous decomposing apparatus


Properties of decomposed product

参考文献